おかしな二人
そんなこんなで、手を繋いだまま人混みの中を歩く事数分。
人波からちょっと外れた裏通りに入り、自然と水上さんの手が離れていく。
それがなんとなく名残惜しく感じてしまうのは、どうしてだろう。
それでも並んで歩く距離はとっても近くて、あたしは終始彼の肩先や、帽子からはみ出ている髪の毛や、履きこなれているジーンズを眺め続けていた。
「着いたで」
その言葉に、ずっと見ていた水上さんから視線をはずし、目の前のショップに目をやった。
「ん?」
なに、ここ?
食事をしに来たんじゃなかったっけ?
そこには、少し落ち着いた雰囲気を醸し出しつつも、気軽に入りやすいよう緩めの照明が灯った洋服屋さんがデーンと軒を構えていた。