おかしな二人
そんなこんなで、またテクテクと歩き、わんさか人で混みあった街の中心部へと足を踏み入れた。
うっへー。
この人混み、なんとかならないのかな。
また誰かにぶつかっちゃいそうだよ。
しかも、大きな紙袋を肩に背負ってるだけに、さっきよりも動きにくい。
人の波をなんとかアワアワしながらすり抜けていると、行きはとっとと先を行っていた水上さんがゆっくりとした歩調であたしを待つ。
それから、コートの入っている紙袋へと手を伸ばした。
「それ、貸しぃ」
「えっ、でも」
買ってもらった上に、持ってもらうなんて、そんな恐れ多い命知らずな事、できませんてっ。
とんでもねぇです、旦那さまぁ、と遠慮をすると、半歩前に居た水上さんがあたしの肩にかかる紙袋を強引に手に取り、結局代わりに持ってくれることに。
「ありがとう」
あたしは、恐縮至極で、諂った。