おかしな二人
そんな水上さんの行動は、それだけに留まらず。
さっきと同じように、もう一方の手があたしの手をギュッと握る。
え゛っ!?
な、なになに。
まだ、転んでもいないのに、どうして手を繋ぐの?
一体、どうしちゃったというのか。
こんな行動、本当に普段の彼からは想像できないんですけど。
それでも、さっき名残惜しく感じて離れていった手が、また繋がったことに心は不思議な温かさで満たされていった。
繋がり触れた肌から、説明のできない何かかが流れ込んでくるみたいだ。
それは、春の穏やかさに似ていて、それでいて、楽しみな夏休みがやってきた、流行るように急かす感情に似ている。
これは、なんだろう?
トクントクンと奏でる心音を、街の喧騒は簡単に聴き逃させる。
本人さえも、気付かないほどの騒がしさを纏い尽かせて。