おかしな二人
大通りに体を乗り出したかと思うと、水上さんはタクシーを止めて乗り込んだ。
手を引かれたままのあたしも、引っ張られるように乗り込む。
「自由が丘まで、お願いします」
運転手さんに場所を告げると、繋がっていた手がまた離れていった。
二人の手が行き場をなくしたように膝の上でグニグニと動いたり、意味もなく携帯を手にしてみたりする。
言葉の少ない水上さん。
結局、車内はまた無言。
このままいくと、また気詰まりになりそうなので、あたしは早々に話しかけた。
「今度は、食事ですよね?」
「おう」
水上さんからは、短い返事が一つ。
運転席の傍にあるデジタル時計を覗き込むと、時刻はとっくにお昼を過ぎ、ティータイムの時間に差し掛かかろうとしていた。
あたしがコートをのんびり選びすぎたせいだ。