おかしな二人
多分あたしは初めてマンションを訪れた時のように、アホみたいな顔をしていたんだろう。
目の前の水上さんは、アホ丸出しの顔を怪訝そうに見たあと、カチリとグラスを当ててきた。
その音で夢から醒めたように、あたしは現実へと戻ってくる。
無言のままワインをひと口含むと、ふわりと口内に広がる香りと渋みにまたうっとり。
あたしが恍惚としていると、前菜にあたるフォアグラのソテーが運ばれてきた。
それを見て、興奮。
ふぉっふぉっふぉっ。
フォアグラぁぁぁ!?
初めて見るその固形物に、あたしの目は釘付けになる。
フォークとナイフをガッチリ握って、人生初のフォアグラへ、いざ入刀!
一切れ口に含めば、とろけるように口の中で香りが広がった。
うんめぇ~。