おかしな二人
家の近所を少し運転はしてみたものの、基本ペーパードライバーですから、東京駅まで、無事に着く保障はできませんぞ。
保険かけといてくださいね。
あ、もしかして、既に多額の保険がかけられてるとか?
ひいぃー、恐っ!
おのれー、保険金目当てか!
いくらかけたんだ!
一億か?
二億か?
とんでもねぇ雇い主だぜ、なんてふざけた事を考えながら見ていると。
「これくらい、なんてこたぁないわ」
と二本目のボトルを大いに傾け、グラスになみなみと注いでいる。
それ、ワインの飲み方として、どうなのよ。
まるで日本酒を注いだ枡をズズッと音を立て、上澄みを飲むみたいにしている渋谷さんに、あたしはちょっと苦笑い。
すると、同じようにあたしのグラスにもなみなみと注いでくる。
「わわわっわっ! そんなに入れなくてもっ」
あたしは、波打つたっぷりの紅い液体に焦る。