おかしな二人


「ほんまに、よく働くなぁ、あんた」
「え?」

キャップから覗く鋭い目を見ていたら、記憶がむくむくと甦る。

あっ、コンビニに来た、募金箱のお兄さんだ。

つか、相変わらず恐いっすね、その目。

やくざ的な雰囲気を醸し出す関西弁さんに、つか恐いっすから。なんて思いは口にせず。
仕事ですから。と頭を軽く下げながら返事をすると、それほど興味もないようにのんびりとした口調で、ふ~ん、と返された。

強面バリバリなのに日曜の昼間みたいに気の抜けた、ふ~ん、になんだか力が抜けていく。

オバちゃんの立ち話のように話すあなたの相手をしてあげたいところだけれど、生憎あたしはまだこのあともバイトが入っている忙しさ。

貧乏暇なしっ!
次は、焼き鳥屋だ。
おこぼれにあやかれる美味しいバイト。

むっふふ。と気持ちの悪い笑いを気付かれないように零し、失礼しまーす。と声をかけあたしはそこを後にした。

残されたその場所で、今の子、ええやん。とその人が零した声には気付きもしなかった――――。


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