おかしな二人
なんにしろ、あるにはあると言われたその仕事、引き受けなくちゃお金にならない。
「はい。もうこの際、擬似恋人だろうが、偽婚約者だろうが、何でも引き受けますので、その仕事紹介して下さい」
君がそこまで言うなら仕方ない、とでもいうように、便利屋の社長は、依頼主の連絡先をあたしに告げる。
自分で連絡をして仕事の内容を聞け、と言う事だ。
「ありがとうございます」
コップの水を引っ掛けられようが、相手の女に平手打ちを喰らわせられようが、そんな事気にしている場合ではない。
そう思っていると、ただひとつだけ……、と社長が口を開く。
この件は、一度引き受けたら断ることはできないと。
社長の言葉に少しの引っ掛かりを持ったものの、あたしは水上さんが留守の間に少しでも稼ぎたい、とその依頼を受け電話を切った。