おかしな二人
家の掃除を手際よく済ませ、一息ついてから依頼者へと電話をした。
コール五回。
知らない番号とはいえ、通知しているからか、意外と早めに依頼者が電話に出た。
「もしもし。私、㈲○○の者ですが。ご依頼の件でお電話させていただきました」
社名を出すと、ああ、と言う男性の声。
その、ああ、は、気のせいかもしれないけれど、ほんの僅か、厭な笑いを含んでいるように感じられた。
所謂、嘲笑的な笑いだ。
けれど、そんな事をいちいち気にしていては、仕事にならない。
相手がどんな人物であれ、客は客。
あたしは、依頼者が依頼内容を話し出すのを待つ。