おかしな二人
電話の相手、依頼者は、声質から言って、二十代から三十代前半といったところ。
少し馴れ馴れしい話し方から、サラリーマンという感じではなかった。
どちらかと言えば、自由業。
もしくは、自分でIT関連やファッション関係の仕事を起業している社長といったところかな。
細身のスーツに、インテリ眼鏡。
ちょっと鼻につく物言いで、薄い唇の端を嫌味にあげる。
そんな、イメージ。
お手柔らかに願いますよぉ。
依頼者が、どんな相手かを想像しながら出かける準備をする。
と言っても持ち物なんて、それほどお金の入っていない財布と、携帯。
それに、ここのマンションの鍵ぐらいだ。