おかしな二人
指定されたカフェは、目黒へと向って延びる道路を道なりに少し行ったところにあった。
店内は、照明を少し抑え気味にしてあり、昼間だというのに仄暗い。
かと言って、陰気くさい感じではけしてなく、どちらかといえば、落ち着いた昔ながらの喫茶店を少し今風のカフェにリニューアルしました、という内装だった。
入ってすぐのレジの前で、キョロキョロと辺りを窺ったが、依頼者らしき人物は見当たらない。
奥に二階へ続く階段があるから、多分上がった先に居るのだろう。
レジに並び、メニューを見る。
一番安い“今日のコーヒー”という名のコーヒーを贅沢にも注文し、熱々のそれを持って階段を上る。
これ、社長に言ったら、経費で落ちるかな?
領収書を貰えばよかった。とレジカウンターを一瞬振り向いたが並んでいる客の多さに、あとでいいか、と取りあえず階段を上った。