おかしな二人
そう、目の前に居る依頼者は、紛れもなく、厭な思い出ばかりをあたしに残してくれた、血の繋がらない兄貴の凌だった。
大体、どういう経緯であたしが席を置く“便利屋”を突き止めたのか。
しかも、どうして仕事内容が、擬似恋人なのか。
何年ぶりかに会って、疑問に思う事はいくつかあるが、そんな話すらしたくはないと、あたしは口を閉ざす。
できるだけ早く仕事を終わらせ、さっさとこいつとの関わりをなくしたい。
「どうでもいいから。早いとこ、仕事にかかろうよ。その別れたい彼女とは、何時に待ち合わせなの?」
あたしは、イライラを隠さずに問う。