おかしな二人


「そんなに焦らなくてもいいだろ。彼女とは、また後日約束する予定だから。今日は、のんびり昔話でもしようぜ」

不機嫌に言うあたしに、凌は爽やかさ全開で言ってくる。

「はぁ゛っ?!」

その言葉に、あたしは水上さん並のドスを効かせる。

伊達に、毎度水上さんの機嫌を損ねているわけじゃない。
不機嫌な態度を真似るくらい、お手のもんだ。

けれど、そんなあたしの態度も兄貴には昔と変らず、ただの幼い妹がむやみやたらに騒ぎ立てているだけと、余裕の顔でクスクスと声を上げるだけ。
まるで、安っぽいピエロの演技に、しょうがないなぁ、と笑いを零してやっているみたいな感じだ。

あいつにとってあたしは、未だに掌の上で転がして遊ぶ、妹という名の玩具なのだろう。

いや、あたしが凌という大きすぎる玉の上で、一生懸命にバランスを保とうと、あたふたしているピエロってところか。



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