おかしな二人


雲隠れしちゃって、居所さえわからなかったここ数年。
気になっていた、なんて、たった今思いついただけに決まっている。
きっと、借金取りに追われているあたしのことなど、一ミリ、いやミクロ単位でさえ思い出さずにのうのうと生きて来たに違いない。

そう思うと余計に腹立たしくて、テーブルの下で拳を強く握り、ギロリと目の前の凌を睨んだ。

「あかりぃ、そんな目してると、男できないぞぉ」

凌は、まるで甘えたような口調でそう窘める。

「はっ!? 大きなお世話だしっ」

なんなのよ、まったく!

あたしは今、男つくってほんわか、デレデレしているほど暇じゃないのよっ。
借金返すことだけで、頭が一杯なのっ。

キリキリと歯噛みしていると、余計なひと言を言われる。

「その分じゃあ、今男はいないだろ?」

探るように、けれど、どこか確信を得たような顔つき。

図星なだけに、爆裂にムカつく。


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