おかしな二人
怒り心頭で散々ムカムカしたあとには、一気に脱力。
凌には、携帯の番号もばれてしまっているし、もう逃られなれないだろう。
うぅ……。
せめて、今住んでいるマンションの場所だけでも、ばれないようにしなくちゃ。
じゃないと、水上さんに迷惑がかかってしまう恐れがある。
しかも、凌のせいでゴチャゴチャしちゃった日には、水上さんのお仕事をクビになってしまう可能性だってあるのだ。
いかん、いかん。
それだけは、絶対に避けなくてはっ。
借金を返すためには、あのお仕事は不可欠なんだから。
そんな事を考え、熱くなりながら駅まで着いて、はっとする。
そして、ブルッと身震いを一つ。
十二月が目の前の街は、風が冷たい。
頬を撫でる風は、剃刀の如く痛みをもたらす。