おかしな二人
あたしの母親は、後妻だった。
まだ若かった山崎の父は、仕事もバリバリこなし、家族思いのいい父親だった。
凌の母親は、体があまり丈夫ではなかったらしく。
凌が小学校へ上がる直前に、病気で亡くなったらしい。
その後、母はあたしを連れて山崎の家に入った。
血の繋がらない父と兄に、幼かったあたしはなかなか心を許すことができずにいた。
いつも母のあとばかり追いかけて、ちっとも懐かないあたしに、凌は根気強く話しかけ、遊びに連れ出してくれた。
次第にあたしは、凌にも父にも心を許すようになったのだ。
一度心を許してしまうと、甘えることに味を占めたあたしは、父親と母親に甘え通した。
母親も父親も独占するように甘えるあたしの姿を、凌は寂しそうに見ていた。
幼い頃のあたしは、凌から父も母も奪ってしまったのだ。
凌だって、まだまだ甘えたかったはずなのに……。
その時の目が、今の目と重なる。
大切な何かを愛おしく、そして遠く感じているような、とても寂しい瞳。