おかしな二人
窓の外を見続ける凌の姿に、怒り心頭だった心が萎えていく。
あんなにカッカしていたというのに、冷静になっていく心は、あっという間にぬるま湯につかったように冷めていった。
仕方ない、数年ぶりの再会だしね。
今日ぐらいは、昔の恨みつらみも忘れようじゃないの。
よっ!
大人だねぇ、あたし。
「わかった。じゃあ、食事くらいは付き合うよ」
「えっ!?」
少しふてくされたようにそう告げると、凌の顔が驚きとともにパッと明るくなった。
その顔は、あたしなんかよりもずっとずっと幼い子供のよう。
その姿に、優しくしてしまっている自分が急に気恥ずかしくなる。
「よしっ。そうと決まれば、まだ時間も早いし、とりあえずは映画かな」
凌は、嬉しそうに言うとさっと立ち上がり笑う。
その笑顔は、あたしが幼かった頃、まだ仲良く遊んでいた時の笑顔と一緒だった。