おかしな二人


あたしは、凌の好意を断り、また水上さんとの会話に戻った。

「水上さんには、ご迷惑をかけませんから」
『ふんっ。なにが水上さんや。敬語はやめろやっ』

あ、そっちに関しても怒られちゃうのね、あたしってば。

色んな角度から叱られて、首がどんどん体の中に埋まっていく。
そんな風に首を竦めたまま居ると、水上さんの電話の向こうがガヤガヤとし始め声が聞こえてきた。

『えいじー。誰と電話しとんのぉ?』
『お前には、関係あらへん。あっち行っときぃ』

ガヤガヤとする中聞こえてくるのは、多分メンバーたちの声。

『えぇー。教えてぇなぁ』
『えっ? なになに? 英嗣、ラブコールでもしとんの?』
『うっそ。英嗣がラブコール?!』
『うっひょー。相手、誰? ねぇ、誰? 誰?』

水上さんをからかうように次から次と、はやし立てる声が聞こえてくる。


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