おかしな二人
映画館で映画を観るなんて、いつぶりだろう。
あまりに遠い記憶過ぎて、思い出すのに時間が掛かった。
ポップコーンと飲物を手に席に着き、本編が始まる前のCMを眺めながら、幼い頃の記憶を手繰り寄せた。
そう、あれは、あたしが山崎の家に入り、少しした頃だった。
懐かないあたしと凌を連れて、山崎の父がアニメの映画を観に連れて行ってくれたんだ。
確か、観たのは、ドラえもん。
おなじみのダメダメキャラが、ドラえもんの道具と普段は苛めてばかりくる友達と結束して奮闘する映画だ。
あたしは、瞬きするのも忘れ、大きな画面を動き回るアニメのキャラたちと音に翻弄されつづけた。
おかげで、父が買ってくれたコーラの氷がすっかり溶けてしまうまで、口にするのを忘れていたんだ。