おかしな二人
映画が終わり、我先にと押し寄せるように出口へ向う人たちをしばらく眺めてから、ゆっくりと席を立つ。
空になったポップコーンのカップと、飲み残してしまったウーロン茶のカップを手に持ちフロアーに出た。
「仰々しく宣伝していたわりに、たいした事なかったな」
凌は、映画の感想を不満そうに洩らすと、あたしが持っていたカップを手に取る。
「もう、飲まないのか?」
「うん。ごめん」
残してしまったウーロン茶に顔を顰めると、凌は、刺さっていたストローを抜き、一気に飲みきった。
その行為は幼い頃の凌と変らず、小さく笑顔が零れた。