おかしな二人
「いーの。食べられる時に食べておかなきゃ、次いつ食べられるかわかんないんだからっ」
あたしは、貧乏根性丸出しでそう言ってから。
あ、今は、水上さんのところにいるから、そんなにがっつかなくても、食事は普通に食べられるんだった、と思い出す。
そう思うと、ズラズラッとテーブルに並びまくったお肉のお皿に汗が滲む。
焼くだけ焼いて、お持ち帰り?
こんな高級店で、お土産にして下さいなんて、言い難いな……。
あは。
若干、頬が引きつる。
「そんなに生活、厳しいのか……」
凌は、車の中で借金の額を聞いた時と同じように表情を曇らせている。
「あ、うん。まぁ……ね」
なんとなく、バンドマンの家に住み込みしている、という事を言い出せずに口篭る。