おかしな二人


それにしても、何でこんなに怒ってんのよ。
なんか、帰りの遅い一人娘を叱るみたいな態度じゃないのさ。

あたし、水上さんの子供じゃないんですけど。

しかも、もう二十歳を過ぎたいい大人がなぜ十時に強制帰宅?

お腹が一杯過ぎるせいか、水上さんの剣幕にげんなりしてくる。

『とにかく。今すぐ家に帰れ』
「今すぐって……」
『あ、電車なんか使わんでええからなっ。タクシー使って、真っ直ぐ家に帰れ。タクシー代は、あとで精算してやるから』

勢い込んで言ってくる水上さんに、なんだか従わざるを得なくなった。

「わ、わかりました。すぐに帰ります……」
『一時間したら、家電に電話するからな。ちゃんと帰っとれよ』

え!
家電に電話ですか!?

適当に聞き流しておこうかと思っていたら、確認の電話をするなんて言い出す始末。

全く、困ったお人だ。

水上さんとの電話を終わらせると、あたしは素早く個室に戻った。



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