おかしな二人
「凌、ごめん! 急な用事ができちゃった」
「え!?」
「すぐに行かなきゃいけないんだ」
「すぐって、この肉どうすんだよ」
凌が、呆れた眼差しを向ける。
「……だよね」
テーブルの上に並んだお皿の上のお肉たち。
サンチュやナムルばかり食べていた凌が、食べきれるわけがないのは一目瞭然だ。
「本当に、ごめん。でも、どうしても行かなくちゃいけないんだ」
あたしがギュッと目をつぶって謝ると、凌は呆れながらも、仕方ないな、と溜息をつく。
「いいよ。後輩でも呼んで、残りは食べてもらうから」
あたしは、もう一度ごめんと謝り、傍らのコートを手に取る。
「仕事とは別に、今度またゆっくり付き合えよ」
「うん。わかった」
返事をして個室を飛び出すあたしの背中に、仕事の連絡入れるからよろしくな、と追いかけるように声がかかる。
あたしは、うんうん、と背後を振り向きながら返事をして急いだ。