おかしな二人


『用事がなかったら、かけたらあかんのか?』
「え? あ~……いえ、そぉいうわけでは、ないけど……」

でも、そのセリフって、まるで恋人に言うみたいな感じじゃない?
相手、間違えてませんか?

あたし、貴方のお手伝いさんですよ。
ただの雇われヘルパーですよ。
そこんところ、解ってます?

相手といえば、大阪のアカリちゃん(仮名)ですよ。
そっちに帰って、よろしくラブラブしてるんじゃないんですか?

こんなお手伝いのちんちくりんな明に電話してないで、アカリちゃん(仮名)を大切にしてあげてちょうだいな。

『一人で街に行っても、しょーもないやろう?』

水上さんが気遣うようなセリフを言う。
その言葉はまさにその通りで、頷くより他ない。

「そうだけど。他に一緒に行くような相手もいないから、仕方ないです」

あたしは、情けなくもそう応えた。


< 259 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop