おかしな二人


「だからですね。キスも抱き合っていたのも、凌の苛めなんです。あたしをそうやって困らせて、楽しんでるんですって」
「俺には、そうは、見えんかった……」
「見えんかったって言われても……」

あたしは、困り果てて頭を抱える。

「大体、血が繋がってないんやったら、好きになっても構わんちゅうことやんな……」
「あのー、いい加減にしてくださいね。いくら、雇われている身とはいえ、本気で怒りますよ」

あたしは、身を乗り出すようにして食って掛かる。

「あたしは、凌の事を恨んでることはあっても、好きになるなんて、絶対にないですから。大体、血とか兄妹とか、本当にいい加減にして欲しいです。天涯孤独と思いたいくらい無視したい存在なのに、好きになるなんて、天地がひっくり返ったってないっ!」

あたしは、興奮に鼻の穴をおっぴろげて抗議した。
けれど、あたしの興奮など気にもせず、水上さんが静かに零す。


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