おかしな二人
「なんや、熱あるんちゃうか? 確か、風邪薬がどっかに――――」
水上さんは、そのままリビングにあるチェストの中を探り出す。
あたしは、飛び散った脳みそを拾い集めるように、平常心を少しずつ取り戻すのに必死だった。
落ち着け、あたし。
すーっはーっ。
静まれ、心臓。
すーっはーっ。
「おおっ。あったあった」
どうやら風邪薬を見つけたらしく、ニコニコとこっちを振り返り小さな箱を振って見せる。
「あ、あのー。大丈夫です。多分、風邪じゃないですから……」
「ほんまにかぁ? せやけど、顔が赤いぞ」
「ほんとに、うん。大丈夫、はい」
あたしは、両手を胸の前で広げて振り、風邪薬を遠慮する。
ならええんやけど、と水上さんは少しばかり残念そうな声を出して、薬を元の場所へ戻した。