おかしな二人
「英嗣」
「ん?」
最近のあたしは、わりと躊躇なく水上さんの名前を呼べるようになっていた。
時々、慌てたりすると、つい敬語も出てしまうこともあるけどね。
「クリスマスは、仕事?」
朝食の後片付けをしつつ、出かける準備の整った背中へ声を掛ける。
気軽に訊ねてから、この質問て、第三者が聞いたら恋人同士の会話みたいだよね、なんて思い気付かれないようにクスリと笑いを零した。
「仕事は、ないんやけど……」
ん?
言葉を濁すように、水上さんは先を言わない。
なんだろう?
なにかあるのかな?
「明は、どないするん?」
「え?」
玄関へ向いながら、逆に背中越しに訊ねてくる。
「クリスマスは、なんや用事あるんか?」
「クリスマスに、用事?」
思わずキョトンとしてしまう。