おかしな二人


初日の今日。
訊いておくべきことは山ほどあったのに、結局最初に感嘆の溜息漏らしながら部屋を見ただけでスケジュールやなんかを確認していない。

一応、やるべき事は、なんとなくはきいている。
部屋の掃除や、水上さんの食事の用意。
でも、細かいところが何も解らない。

まぁ、いいか。
考えてもわからないことは、放棄だ。

とりあえず、客間使って怒られたらイヤだし。
かといって、固い床に寝るのは体が痛くなりそうだから、この座り心地のいいソファを使わせてもらおうっと。

掛け布団も何もない状態で、とりあえずソファに横になる。

新しい生活と、水上さんへの気遣いで疲れていたあたしは、あっという間に眠りへと落ちて行った。

その夜見た夢は、あのキングサイズのベッドで優雅に眠る自分の姿。
ふかふかのぬくぬくで、心も体もリラックス。
貧乏暮らしで、ぺらっぺらのかたーい布団とはおさらばさ。
ふぁっふぁっふぁっ。なんて、高笑いを上げる自分の姿が、薔薇色に彩られていた―――――。


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