おかしな二人
あたしは、ねとぉーっと目を細め、探るようにして見る。
「な、なんや」
その目にたじろいだように、水上さんは身を引いた。
「まさか、あたしのあとをつけていた、なんて事はないですよね?」
猜疑心丸出しで、あたしはわざと訊いてみた。
「ぁっ、アホかっ!! 俺は、ストーカーちゃうぞっ」
慌てたように否定するその姿は、どう考えてもストーカーしてました、って白状しているようなもの。
バンドマンて、意外と暇なんですね。
なんて。
雇っている者がコソコソしていれば、雇い主が気になるのも仕方ないのかな。
悪く言えば、信用がないって事よね。
あたしは、肩をすくめる。
「これからは、英嗣の信用を失わないよう、誠心誠意働かせてもらいますね」
「お……、おう」
気持ちを切り替えそう言うと、別に信用してないわけとちゃうんやで……、なんてごにょごょ言いながら、水上さんは今日もお仕事へと行かれました。