おかしな二人
コートを羽織、賑やかな街へ一人で出ると、どこへ目を向けてもほぼカップルばかり。
イチャイチャ、ベタベタで、納豆よりもしつこくくっ付いているのを見ると、なんなら瞬間接着剤でも使って、永久にくっ付いてたら? と言いたくなるのは、独り者のあたしの僻みだろう。
だって、あたしってば、イヴの夜にあの傲慢チキチキ、のーたりん兄貴の相手をしなくちゃいけないのよ。
僻みっぽくもなるってもんよね。
それでも、カップルに交じり家族の幸せそうに笑いあう姿を見て、自然と笑みが零れる。
母と二人、小さなケーキに笑顔を漏らしていた時を思い出さずにはいられない。
一瞬の、綺麗で温かで、儚い思い出。
あたしがいつか結婚したら、誕生日やクリスマスは必ず家族みんなで祝うんだ。
おっきなケーキにろうそくを立てて、誕生日の歌やクリスマスの歌を歌うんだ。
子供にも旦那さんになってくれた人にも、たくさん笑顔でいてもらうんだ。
絶対に、幸せな家庭を築くんだから。
家族には、自分のような思いは絶対にさせない。
イヴの夜、キラキラと目を奪う電飾を見ながら、そんな事を思った。