おかしな二人


バーの前にたどり着くと、以前と違って営業時間内のせいか賑やかな雰囲気が漂っていた。

お店のライトはクリスマス用にアップされ、嵌め殺しの窓の奥もほんのり明るい。

真鍮のドアノブに手をかけ中に踏み込めば、数組のお客が楽しそうに談笑をしていた。

「いらっしゃい」

前回と同じように、紳士的な態度で岸谷さんがあたしを迎えた。

「こんばんは」

あたしは、ペコリと頭を下げる。

「奥に来てるよ」

岸谷さんは首を巡らし、凌の居る場所を示す。

あたしがコートを預けて奥のソファ席へと向かうと、凌はこの前と同じ位置に座り、ワインを飲んでいた。


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