おかしな二人
食事を済ませ、冬の凍りつくような外へ出た。
「寒いな」
スリムなコートをスマートに着こなし、凌が白い息を吐き出す。
「ほんと」
あたしは、水上さんからいただいたコートのポケットに両手を突っ込み、同じように息を吐き出した。
「少し歩こうか」
凌が、先にたって渋谷への道を歩き出す。
深夜に程近くなった夜の大通り。
店先の明かりは、クリスマスに彩られにぎやかに輝いているけれど、人の通りは随分と減っていた。
みんな、それぞれの帰る場所、居るべき場所で、大切な人に寄り添っているのだろう。