おかしな二人


「だっ、大丈夫だよ。身元もしっかりした人で、ちゃんとした社会人だから」
「社会人だからって、ちゃんとしているとは限らないだろう」

そうだけど……。

困ったなぁ。
しかも、社会人なんて言ったけど、ミュージシャンだから凌と似たような業界の人なんだよね。
そのせいか、余計に言いづらい。

「と、とにかく。とっても良くしてくれている人なの。その人のおかげで、以前よりもたくさん借金を返すことができてるの」

頑張って訴えかけると、借金という言葉にピクリと凌の眉が反応した。

「借金のため……か」
「……うん」

「けど、やっぱりそんな仕事は、よくない。俺と一緒に暮らして、普通に働く方がずっといいはず」
「りょう……」

なんて言えば解ってもらえるだろう。


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