おかしな二人


「それは、明の考え違いだ。親がいない以上、俺には責任がある。今まで放っといていたやつが言えたセリフじゃないけど、家族は一緒に居なきゃいけないんだよっ! それに、俺は――――」

夜の空気が振動した気がした。
凌が叫ぶなんて、父親と喧嘩した時のようだ。

「……凌」

声を荒げてしまった事を恥じるみたいに、途中で言葉を切り、凌が俯いてしまった。
それから、一度大きく息を吸い吐き出した。

「ごめん。アルコールのせいかな……。ちょっと、興奮状態みたいだ」

年明けも間近になった寒い冬の夜。
二人で空けた、たかだか一本のボトルワインでは、当に酔いは冷めているはずだ。

興奮した言い訳には、弱いよね……。


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