おかしな二人
「気持ちは、嬉しいよ……」
「なら」
あたしは、ゆっくりと首を横に振る。
「さっきも言った通り、あたしは今の生活を崩したくない。凌が色々考えてくれていたのには、本当に感謝する。家族だから、助け合う事も大事だって思う。でも、まだ平気だから。まだ、頑張れるから。この先、どうしても一人じゃつらくなった時は、言うね。だから、それまで」
凌は、寂しげに目を伏せる。
しばらくそうしてから、深呼吸するように深く息を吸い吐き出した。
「何か起こってからじゃ、遅いって事……、それだけは、肝に銘じておけよ」
精一杯の譲歩だ、という具合に、強張っていた顔の筋肉を緩めた。
あたしも、肩の力を抜き、頬を緩める。