おかしな二人
恐怖のお誘いクリスマス
*
「遅くなりましぁ……」
コソコソ、と言うわけではないけれど、既に零時を大いに過ぎていて、あたしは泥棒並にそろりそろりとリビングへ向う廊下を行く。
リビングの灯りは、点いている。
きっと、ソファにふんぞり返り、大袈裟なほどに足を組んだ鬼のような形相の水上さんがあたしを待ちうけていることだろう。
それを想像しただけで身の毛がよだつ。
ガチャリと控えめな音を立て、リビングに繋がるドアを開けた。
テレビが点いていて、そこからはクリスマスの特別番組が流れているのが見える。
ソファには、案の定水上さんの姿があった。
恐々、ごめんなさいの言葉を用意して近づくと静かな寝息が聞こえてきた。
「あれ……」
寝ちゃってる。
水上さんの体が、崩れるようにしてソファに横たえられていた。
あたしは、テレビのボリュームをそっと下げ、コートを脱ぐ。
あたしを叱るために待っていたんだろうけれど、あんまり遅すぎて、寝ちゃったんだね。
なんか。
「……ごめんね」