おかしな二人
「昨日も言うたけど、敬語はあかんて」
あ……、そのことね。
「はい……じゃなくて、うん」
よかった、殺されなくて。
鉄拳くらい飛んでくるかと思ったし。
そっか、敬語廃止は、酔っ払って言ってたことじゃなかったんだ。
だったら、名前もやっぱ呼び捨てでいいわけ?
かすかな疑問を持ちつつも、名前を呼ぶ機会もないまま、帰ってくるまでにやっておくことを言い置いて、ほな、行ってくるわ。と水上さんはギターを背負って仕事へ出かけてしまった。