おかしな二人
水上さんのギターに後ろ髪を惹かれつつ、ベッドメイキング開始。
わっさーっ、とシーツやカバー類をはずし、新しいものに付け替える。
その後、隅々まで掃除機をかけて終了。
「終わったかぁ?」
掃除機をズルズルと引きずりながら寝室を出ると、ギターを抱えた水上さんが訊いてきた。
「うん。終わったよ」
「ほんなら、出かける準備しよか」
「うん」
水上さんは、ギターを持って寝室に入って行く。
黙ってギターを弾きながら、急かす事も無く掃除が終わるのを待ってくれていたみたい。
こういうところ、優しいよね。
あたしは掃除機を片付けた後、チェストの隅に入れておいた物をコートのポケットに捩じ込み出かける準備をした。
水上さんは、ジーンズにネルシャツ・キャップに黒縁眼鏡をして、あったかそうなダウンを着ている。
あたしは、履き古した既にヨレヨレのジーンズに、これまた何十回、いや何百回と袖を通したであろうニットを着て、貰ったコートを羽織った。
玄関でスニーカーを履くと、冷たい空気が刺す表へとくり出した。