おかしな二人
クリスマスにこんな貧乏ったらしい女を連れて歩くなんて、水上さんも物好きですよね。
なんなら、その辺で素敵女子をナンパしてきた方がよろしいんではないでしょうか。
卑屈になりながら、今日もスタスタと先を行く水上さんの背中を追っかける。
途中、腹が減ったと訴えかける水上さんと、裏道にあったちょっと有名なラーメン屋さんに入った。
中は結構な混みようで、ラーメンにありつくまでにしばしの時間を要した。
おかげで、ありつけた頃にはいい感じの空腹具合に、ラーメンは一気にどんぶりから姿を消した。
それにしても、この油と熱気が充満しているラーメン屋に居ると、ここがお洒落な大人の街“銀座”だって事を忘れてしまいそうだ。
ラーメン屋から一歩外に出ると、寒さと共に瞬間移動でもしたかと思うほどの品の良さ。
あのドアの向こうは、実はラーメン激戦区の高円寺や中野だったのではないかと思ってしまうほどだ。
よくもまぁ、銀座なんて地代の高いところに、単価の低いラーメン屋などをオープンしたものだ。
店主の心意気に、拍手喝采だね。