おかしな二人
あたしは、よく磨かれたガラスの向こうにいる水上さんを、表に突っ立ったまま見ているだけ。
どうしよう……。
一人取り残され、店の前に立っているみすぼらしい女。
通報される前に立ち去りたい。
半歩ほど後ずさりし始めた時、背後にあたしが居ない事に気が付いた店内の水上さんが、キョロキョロと首を動かし始めた。
そして、未だ外に居るあたしを見て、眉間に深い皺を寄せている。
その皺を深々と刻んだまま、ヅカヅカという音が聴こえてでもきそうなくらいの勢いで水上さんは出口へと歩いてきた。
水上さんは、ドアマンが開けてくれたドアから顔を出すと、なにしとんねんっ。と早く入ってくるようにあたしを促し、またすぐ背を向ける。