おかしな二人


「えっ、えいじっ」

声が届かなくなる前に、と急いで水上さんを呼び止める。

「あん?」

水上さんは、クルッと振り返ると怪訝な表情を向ける。

「なんや?」
「あたし、こんな格好だけど……」

自分が身につけている汚いスニーカーと、履き古されたジーンズに肩を竦めた。

「俺かて、ジーンズやん」

なにアホみたいなこと気にしとんのやっ、と同じようにジーンズを履いた右足を一歩前に踏み出した。


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