おかしな二人
耳も顔も紅くして入った店内は、高級感が漂いすぎて息をするのも忘れてしまうほど。
ここに漂っている空気にさえ、何かしらの値段がついているんじゃないかと思えてしまう。
口を開けたままほうけていると、息苦しさに呼吸をしていなかった事に気づき、慌てて体内に空気を取り込んだ。
取り込んだ後に、請求が来たらどうしよう、なんて少し焦る。
酸素代、しめてうん万円になります……なんて。
水上さんは、ずらりと並んだガラスケースの中の商品をゆっくりと見て歩いている。
あたしは、その背中を迷子にでもなっちゃあまずい、とばかりにぴったりくっ付いて歩いた。