おかしな二人


「あ、あのぉ……」
「なんや?」

商品から目をはずさないまま、水上さんが応える。

「お買い物ですよね?」
「当たり前やん」

真剣に見ていた目をこっちに向けて、おかしな事を訊くな、と睨まれる。

「ご自分のですか……?」

場所が場所だけに、つい“です”“ます”が出てしまう。

「俺のちゃう」
「誰かにあげるんですか?」
「ん。……まぁ、そないな感じやな……」

水上さんは、歯切れ悪く応えながらも、また商品をじっくりと見ていく。


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