おかしな二人


喫茶店でしばらくのんびりしたあと、あたしたちは外へ出た。
夕方前の街は、なんだか忙しなく人が行き交っている気がする。
約束の場所に誰よりも早く向わなくちゃ、とでもいうように、都会の人の足取りはやけに速い。
そんな波にのまれる事もなく、あたしと水上さんはのんびりとした歩調を崩さなかった。

「次は、食事だよね」
「せやな」

あたしは、コーヒー一杯では満たされなかったお腹を抱え、どんなご飯を食べられるのかとウキウキした。
スキップでもしそうなあたしを見て、水上さんは笑いを浮かべている。

そんな水上さんの片手に握られた小袋をチラリと横目に見て、心なしかウキウキが低下した。
真剣な表情で選んでいたその贈り物を目にするたびに、何故か心に薄っすらと膜が張る。

それは、緞帳ほど重っ苦しい物ではないけれど、蜘蛛の巣ほどには鬱陶しい。
手でワサワサ払い除けては見るものの、見えないその糸は所々絡みついて、顔を顰めずにはいられない。

浮き足立った歩調が緩むと、腹減りすぎて動けなくなりよったか? とからかう水上さんに、あたしはただ笑い顔を返すしかなかった。


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