おかしな二人


飲物を水上さんに任せ、あたしはぼんやりと窓の外へ視線向けていた。

銀座なんていう大人の街で、クリスマスの夜に水上さんと向かい合い食事をする。
あたしの身なりに気を遣ってか、前回同様にカジュアルなお店だ。
水上さん自身も、気取ったお店よりはこういうほうがまだいいと思っているのだろうけれど。
それでも、気遣いは伝わってくる。
普段の言葉は暴力的だけど、本当に優しいんだよね。

窓の外へ向けていた視線を目の前に戻すと、水上さんはワイングラスに注がれたお水を口に含んでいた。
そして、料理を待ちきれないのか、キョロキョロと周囲のテーブルを気にしている。

そんな彼を見ていたら、どうしてだか水上さんに自分の事を訊いて欲しくなった。
夜の空気や、ここの雰囲気に酔ってしまったのかもしれない。

「英嗣」
「ん?」

「なんか、不思議だよね」
「ん?」

最初の返事とはトーンを少し変えて、あたしが何を言い出したのかと水上さんは怪訝な表情を浮かべている。


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