おかしな二人
手を引かれたまま、タクシーを捕まえるために大通りへと向かった。
こんな日のせいか、行きかうタクシーはどれも送迎中でなかな空車が見つからない。
「まぁ、しゃあないよな」
英嗣は、歩きながら拾えばいいと楽観的に構えている。
あたしは、黙ってそれに従った。
歩道に並ぶ木々には、イルミネーションがチカチカと瞬いている。
以前、昼間に一人で見たときには、その電飾が嫌味にしか取れなかったけれど、今こうして目にすると、素直に綺麗だと思う。
きっと、繋がるこの手のせいだろう。
それでも、その幸せな感情をなるべく表に出さないよう。
欲張らないように、と自分を戒める。
「あかりぃ」
「ん?」
英嗣が、立ち止まる。
捕まらないタクシーを諦め、電車にでも乗るのだろうか。