おかしな二人


「もしもし」
『――――あか……り……』

電話の向こうからは、苦しそうに途切れ途切れにあたしの名前を呼ぶ凌の声がした。
すぐに昨日、凌がしていた空咳を思い出す。

「どうしたの?!」
『風邪……引いたみたいで……』

やっぱり。
昨日一緒にいる間に、少しずつ悪化していったのだろう。
はぁはぁと吐く息が、スピーカーに雑音を混ぜる。

『薬、探したんだけど、みつからなくて……』

いつもにない心細そうな声で、凌が訴えてくる。

「病院は? マネージャーさんとか、誰かいないの?」
『クリスマスで、みんな予定が埋まってんだよな……』

凌は、おどけたように、無理に笑って聞かせる。
けれど、呼吸の仕方から、実際はそんな余裕などない事を悟らせた。


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