おかしな二人
「寝室は、どこ?」
訊ねても、苦しそうな声を洩らすだけ。
熱で意識が遠のいているようだ。
あたしは凌をリビングの隅に座らせ、片っ端から部屋のドアを開けて行く。
ゲストルームや書斎のあとに、使われていないベッドだけが置かれてある部屋に行き着き、動きを止めた。
締め切られたままの、明るい桃色のカーテンが意味するもの。
「ここ、あたしの部屋……?」
―――― 明のために空けてあるから。――――
凌が言った言葉は、本当だったんだ。
何か、心の中を上手く表現できないもどかしいような感情が支配していった。
けれど、慌てて今の状況を思い出し、次のドアに手をかけると大きなベッドが目に飛び込んできた。
リビングへ凌を迎えに行き、また肩を貸して引き摺るようにしてその部屋へと連れて行く。