おかしな二人
「温めますか?」
「うん」
「八五〇円になります」
千円札を受け取り、おつりを手渡すとレジ横においてある募金箱へチャリン。
おっ!
いい人。
まるで、自分にでも寄付してもらったような気分になる。
温まったお弁当を手渡し、寄付の分のお礼もこめ、満面の笑みでありがとうございます、を言った。
目深に被ったフードの隙間からかすかに見えた瞳が、早朝から元気に声を張り上げるコンビニ店員を怪訝な顔で見ている。
それから、口の端を少し上げた。
「あんた……朝から、元気やな」
小さく笑い、お弁当の袋を受け取った。
貧乏なあたしは、元気だけがとりえですから。
なんてことをいちいち他人に言っても仕方ないので、にっこりと笑みだけ返しておいた。