おかしな二人
いくら考えたって解りようのない問題に頭を振り、食べきれなかったヨーグルトをさげた。
以前なら、食べ物を残すなんて、罰当たり以外の何者でもなかったのに、こんなに簡単に残しちゃうなんて。
ついこの前までは、変っていく毎日や自分が嬉しいと感じていた。
けれど、変っていく今の自分に嫌悪を抱きながらも、どうしても食べきれなかったヨーグルトをいともあっさりゴミ箱に捨てる自分を、更に嫌悪に感じてまた深く息を吐く。
まるで、心の中にある負を出すかのように。
帰りが遅くなる、と言った英嗣をリビングで待っていた。
見るともなしに点けていたテレビからは、やって来るお正月の話題がひっきりなしに流れている。
芸人もアナウンサーも、俳優もアイドルも、みんなが一様にめでたいと口にしている。
「少しも、めでたくないし……」
ボソリ皮肉を洩らし、ズルズルとソファの背凭れからずり落ちるようにして、床にぺたりと座り込む。
本来座る目的のソファを背凭れにし、テレビのスイッチをリモコンで消した。
さっきまで騒がしかった室内は静まり返り、まるであたしの心の奥を探ってくるようにシーンとしている。
外からは、時々、表を通る車の音や、バカみたいに、どあほーっ! と奇声を発しているどっかのサラリーマンらしきおかしな酔っ払いの声が聞こえてくるだけ。